藤子・F・不二雄大全集の『ドラえもん』第一巻。演出家、鴻上尚史さんのあとがきが非常に良かった。
たとえば、のび太のパパやママはドラえもんに何かを頼んだりもしないし、
依存しているのび太を注意しようとしない。突然家に住み着いてもすんなりと受け入れる。
そんな突っ込みどころ満載のお話は正直“変”です。
ただ、それは作家を作家たらしめている「作家性」から生まれたもので、そこから生み出された「作品」であるのです。
さらには、最近の商業的な作品になると、ひとつのモノ作りに多くの人間が絡み、
それにより、突っ込みどころのない理論的に破綻しないモノではあるものの、
完璧さを引き替えに「作家性」を失っているというお話。
・・・そんな感じの良いお言葉。
要は大らかさが「作家性」へとつながり、『ドラえもん』のおもしろになっていると。
最近はひとつの創作物を発信するのに注意すべき点が多く、安パイに走りがち。
昔の『ドリフ』のおもしろさが最近のテレビにないのもこういうことなんだろうな。